容姿
『正しい藍』をした髪は頭の後ろで一つに纏め、特別に許された七色の髪紐で括り、藍色の制服を少しも崩さずに着用する、威厳よりも存在感の強い姿。紫の瞳は雑色の混じらない「正しい紫」であるとされ、その瞳は常に何かに興味深げに向けられていた。
国王から下賜された「龍泉」と「紫剣」を肌身離さず、また騎士であるという姿勢を常に崩さない。それなのに人好きのする空気すら纏っていて、人を突き放すような雰囲気を見せることは無い。
両耳には銀のピアスをつけ、左手首には丸い紅玉を繋いだ輪を嵌めている。目に見える装身具はそれだけだが、制服を解けばかなりの洒落者。目立って派手には見えないが、趣味よく風体を整えることを好むらしい。
だが騎士らしい恰好をしていなくとも騎士の振る舞いが抜けない為に、結局は剣を持つ騎士である、という印象からは離れられない。
本人は、諦めたようにもしていたが、本心ではどうだったのか。
詳細
事実現代に最高の「天才」。全くの無名の協会学院生が学生であるうちから目に見えて頭角を現し、紫旗師団に引き入れられることで大成した騎士。
ありとあらゆることに興味を示し、興味を示した物事については文字通り即座に知識を吸収し、自分のものとして運用する、という芸当をなんの苦もなく成す典型的な天才。
言語であろうとどのような学問であろうと、情報収集の時間さえあれば驚くほど短時間で習得した。団の采配、指揮共に評価が非常に高く、歴代の紫旗団長の中でもあるいは最高峰か、とも噂される。本人は面白そうに否定していたが、少なくとも部下からそう思われているのは本当の事の様子。
自分の能力をひけらかすことはしないが、成果主義であることは少しも隠しもしない。部下が功績を挙げれば労うが、それが無ければ特別に気を向けることもしない。部下でなければ心配性にも世話好きにも見える面を見せることもあるが、よく知る人物に言わせれば「自分の周囲に整わず正しい状態で無いものが存在するのが嫌なだけ」であって、自分の手の届かない部分、見えない部分、見えたとしても関わりの無い部分については無視を通すのも事実。
それでも部下に慕われ尊敬されていたのは、能力だけでは無い為人故の事だった。
六二七三年三月二十七日、紫銀の護衛任務中に殉職。享年三十八。