容姿
金の髪はこめかみの一房だけを長く伸ばし、あとは騎士にしても短く整えられていた。緑の瞳は風を強くした色で、気の良いというよりは、多少軽薄な雰囲気も漂わせているが、実際にはそのような事は無かった。
制服を軽く着崩しているのが常で、両耳には蒼いピアスを揺らしていた。騎士と名乗る割にはクロークも崩していたが、それでも制服の規定を大きく外していないから面倒だ、とは、クォルシェイズが零していた。
制服を解けば、鮮やかに刺繍された上着を嬉しげに羽織っている。妻であるイースの手がけた刺繍だが、私服以外にも制服の袖口、クロークの裾などに彼女の手が加わり、目立たないながらも繊細な模様がつけられているのが常だった。
命石はイースと交換しており、蒼白の石を常に身に着けていた。
詳細
紫旗師団第一部隊に所属していた騎士の一人。特別な役職にあったわけでは無いが、同僚達には慕われる、あっけからんとしていて付き合いの良い騎士だった。
一見しては軽い人間にも見られることも多かったが、実際には実直なたちで、無謀や無茶とは縁遠い騎士。あまり他人を気に留めるようなそぶりは見せなかったが、それが内心に沿うものだったのかはわからない。
紫旗師団第二部隊の隊長であったイースとは婚姻関係にある。彼女の手による刺繍を隠すようなことも見せびらかすようなこともせず、制服を身にまとっている時にはそのような様子は欠片も見せなかったが、一転して仕事で無くなれば延々と妻にくっついて離れない様子も見せた。
紫旗が紫銀を保護する、ということに関しては保守派で、常々王家と神殿に任せるべきだと言っていたが、当の紫銀本人を相手にする時にはまるで実の子にするように甲斐甲斐しく面倒を見ていた。紫銀がなついた数少ない男性騎士のうちの一人で、同僚達には「自分の家に持って帰って自分の娘にでもしようという勢い」と揶揄されていたが。
六二七三年三月二十七日、紫銀の奪還任務中に殉職。享年三十四。