容姿
いつも厨房で見かけたのはクロークをどこかに置き、手袋の無い素手に簡略衣の袖を捲った作業着姿。いつも調理をしていたからか、髪はきっちりと結い上げて纏めて、帽子から溢れて背に流れる後ろ髪も丁寧に編み込んで散らないようにとの工夫が見えた。
綺麗な手で様々な料理を手がけ、給仕することを常に楽しんでいたようだった。楽しい、と感じていることがよくわかる雰囲気と表情を持った人。
詳細
紫旗の裏一隊に所属する騎士。本部で内勤する団員たちの監査および相談役で、特に力を入れていたのは「士気を高めるため」と称した朝昼晩の食事の給仕である。
種族はエメリスの出自。エメリスは正確には種族ではなく、ヒトの中でも特にヒトであるもの、つまりはどのような特性も持たないと判明した人物を指して言うものである。故にエメリスが紫旗に所属した例は少なく、ファリマも度々エメリスであるという証明を疑われ検査を重ねてきた経緯がある。
実力としては前線要員には劣るが、対人戦闘対『異種』戦闘の技量は任務を果たせないほどではない。だが特性が無いと判明した中で工夫と鍛錬の結果十三階梯まで上り詰め、その知識や鍛錬法を見習いや子弟の基礎教育に組み込み、将来的には団員の殉職率を低減させるための策定を任せられていた。
『紫銀』の様子によく気を遣っていたうちの一人。食事、こと栄養に関して人一倍に気を揉み、工夫を重ねて療師と共に薬膳による治療の一助を担うなど、戦闘以外に功績として数えられる。とにかく他者を援けることに高い意欲を示し実践しており、その精神性は騎士というより母の鑑である。
六二七三年三月二十七日、紫銀の奪還任務中に左腕、左足を消失し騎士称号を返上、退団後ひとつきほどで消息を断つ。退団後も裏一隊の予備人員として本部に詰める予定で、本人は騎士称号の返上後も仕事があると、心の底からそう喜んでいたように思われたが、真意は不明である。