容姿
琥珀を溶かしたような艶のある金の髪に、左右ではっきりと色の分かれた緑と紅の瞳を持つ女性。左眼は風の色を深めた緑、右眼は突き通るような火の紅。髪は肩にかかる程度の長さで、女性にしてはかなり短く整えられている。右の眼は完全に見えていない。
細身ではあるが、女性らしい体付きをしている。背丈は並程度だが、常に背筋の伸びて存在感のある姿。制服姿であれば眼を集めるという程では無いが、家柄に相応しく衣服を整えれば途端に豪奢な空気を醸すような、纏うものの移り変わりの激しい一人。
表情が正直に浮き上がるふうで、開けた印象を与える事が多い。あっさりとして快活なように見える立ち居振る舞いと、毅然として揺るがない指揮官としてのそれを兼ね備え、入り交じった空気を持つ。
両耳に銀の小さなピアスを付けて、首には紫旗師団の団章、第二部隊の隊章の二つを提げている。制服姿であれば最低限のそれだけだが、私服であれば手首に細い腕輪を巻く事もする。指輪は邪魔だからと、好んで身に付ける事はしない。
詳細
本名は「ラシエナ・シュオリス・リジェル・ディア=アイラーン(Lussiytte-Cellion 語の関係で称号の読みが変化している)」。「フィレンス」とは通称であり、『禁忌破り』としての名でもある。
騎士に課せられた「騎士は魔法を手にしてはならない」という誓約を破り、禁忌を越えた女騎士として知られる。紫旗師団(護衛師団)と蒼樹協会を掛け持ちする騎士であり、前者では第二部隊の隊長の任を預かり『紫銀』のすぐ傍に侍る誉れある騎士として羨望を集め、対し後者では利己の為に禁忌を破った爪弾き者として扱われていた。
口下手な節があり、仕事の場面であれば迷う事も失敗する事もほとんど無いが、個人と個人での関わり合いとなると途端に引け腰になる。それを繕って隠すのも上手い方だが、周囲がそういった変化や取り繕いをそうと察する事の上手い人物が多く、結局隠しきれないといった事も度々起こっている。
諦めるのが上手い所為なのか、その結果として自分の首を絞めている事も。不器用な事は自覚しているが、それも諦めているらしく見える。互いに慣れた人を相手にすれば砕けて人懐こい面も見せる。
生家は東の公爵家、アイラーンの三番目の子で長女。上に二人の兄と下に七人の弟がいる中での紅一点。
紅茶が好きで、料理上手。暇があれば菓子作りの時間にしたり、そこに他の女性の協会所属者を巻き込んでいる事もある。裁縫や刺繍も得意で、文学や芸術にもそれなりに通じているが、あまり表に出す事はしない。