容姿
本来人間にはありえない、限られた人間にしか現れない銀の髪と紫の瞳を共に持つ少女。髪は丁寧に長く伸ばし、真っ直ぐに保っているが、手入れを怠ればすぐ癖が付く上に、しっかりと編み込みでもしようものならくるくると波打つ。本当は癖っ毛。
街に出る時には瞳の色を変化させる魔法薬を使い、紫瞳を紅に見せて誤魔化している。時間があれば髪に染め粉で色味を付けるなどもしているが、時間がかかるからと本人はあまり乗り気ではない。
協会所属魔導師の制服とも言える「黒い服」は、規定のものが存在しない故に各魔導師の好き好きに黒い衣裳を纏っているが、フェルリナードの場合はドレスに似たシルエットに黒い上着を羽織った姿。他の黒服達に対して黒の面積が少ない為、たまに仲間達にもそのことを言われる。そのことは本人も少し考えているらしい。
魔法使いにしては身につける色は少ない。左耳には青玉の雫型のピアス、右耳には赤玉の小粒のピアスの二つが装身具と言えるもので、他には何もない。黒服や普段着の裏には金銀の糸で細かな陣が刺繍されているが、装飾が目的のものではない。黒い上着の上には紫の細長いストールを掛けているが、これは色を補う為のもので装身具としての意味合いは薄い。
他に常に身につけているのは鈴蘭の香水。これ以外の香りを纏う事はない。
詳細
キレナシシャスの王族に発見され、王統に組み込まれた現女王の義娘。国王に準じて尊ばれる『紫銀』の身分にある少女として国内外に広く知られた存在ではあるが、その娘が魔法使いであるという事は親しい人間しか知らない事実である。
大きな魔法の才を有する魔導師として、この新年の頃から蒼樹協会に所属する黒服でもある。魔法による戦闘行動を専門とする魔導師としては十法師という中堅だが、蒼樹協会の中ではまだ新人という肩書きが消えない未熟者として扱われている。本人もそれに関しては不満も何もない様子である。
普段から少し崩れた丁寧口調で通しているが、実際に喋りやすいのは言い捨てである、とは本人の談。恐らく冗談の類ではあるが、口調は丁寧でも丁寧な語彙選択ができているわけではない。
好き嫌いははっきりとしている方だが、嫌いなものが単純に少ないだけとも言える。最大の天敵は猫であり見かければ即座に逃げ、鋏を使う代わりに細い短刀を使うなど嫌いなものに対しての姿勢は一貫している。梨や葡萄や卵雑炊といった好物に眼がなく、香水は鈴蘭しか使わない。
食べること・食事は好きらしく、一食の分量は成人男性のそれに匹敵する。その割には背が伸びるでも太るでもないのは本人も周囲も不思議がっている。尚料理裁縫その他の腕は壊滅的な為完全なる消費者。
神殿の総てを掌る大公の位を持つが、実際には『紫銀』の影である「フェルリナード」との二人で実務を執り行い、それを侍従である神殿騎士が補佐する形を取っている。
名は「フェルリナード=アイクス」。ただしこれは通称として扱われ、系譜に付された本名は「キレナシシャス王女リジェヴァンティ公フェルリナード・ラツェル・シャスティル=キレナシシャス」。特殊な立場である為に王位継承は認められないが、歴とした王族の一人として数えられる。