容姿
緩く癖のある長い髪を背で一つに括り、厚手のローブを外套がわりに羽織りながら、乱雑と言うよりは適当で気のない仕草でどんな場所も通す立ち姿。
刺があるようなそれではなく、むしろ親しみやすさの強い空気を持つ男性。ただそれだけではなく工学師としてであれば堅く強い視線も持つ、変容の度合いの強い色も持つ。
衣服もローブもさして手をかけている訳ではないらしく、くたびれてところどころ綻びてもいるが、なぜかみすぼらしくは見えない。掛ける元手が無い訳でもないはずだが、単に興味が無いのだろう振る舞いが常ではある。
装身具は青を筆頭に多色を装う。ただそれも「飾る」よりも「持つ」事が主なのか、正規の使われ方をしているのは腕輪や首飾り程度。ピアスも無く、指輪も無いそれは、魔法使いにしても工学師にしても軽装に過ぎるのだが。
詳細
魔導師・魔法工学師としては若年にも関わらず、王立図書館に所属し『異種』に関わる研究の第一線を担う新鋭。である、はずなのだが、実際には国のあちこちを行脚しては研究所に問題を持ち込みそのまま解決も見ずに消える問題児、と周囲には認識されている。
工学師称号であるラツィは宝珠の製作を師から許された者の意味を持つが、その師が他界して以来魔法院に称号の更新を申し出てはいない。師とは不仲が有名だったが、実際のところは彼も誰も語らないまま、不明のままの事である。
図書館からは問題児とされているが、工学師の中では良く知られた存在でもあり、工学師が手掛ける魔法具とそれ以外の分野、特に錬金術との結び付けを行った研究や開発によって評価されている。古風な一派からは「工学師としての自覚がない」とも言われるが、本人がそういった批判を気にしている様子は今のところ見受けられない。
もともと工学師になるつもりはなかった、とは、今の時折口にする。どうして心変わりしたのかを問いかけても、その答えは明かされないが、彼の周囲に常に控える『妖精』達が「姉さん」と呼ぶひとつの魔法あるいは『妖精』が、その理由と深く結びついているらしい。